コラム

ふるさと福知山と二地域居住(デュアルライフ)

2025年05月10日

ふるさと福知山と二地域居住(デュアルライフ)
 近年、新しいライフスタイルとして「二地域居住(デュアルライフ)」が注目されています。都市部と地方部の二拠点を持ち、それぞれの利点を活かしながら生活するスタイルです。例えば、「趣味を満喫したい」「親の近くで暮らしたい」「子育て環境を充実させたい」「将来の移住に向けて試してみたい」「地方で起業し、地域に貢献したい」「自然に癒されながらのんびり暮らしたい」「自然災害に備えて生活拠点を分散させたい」こうした理由から、都会では得られない魅力を求めて地方との二拠点生活を選択する人が増えています。しかし、二地域居住にはメリットだけでなく、維持管理費や移動コストといったデメリットも伴います。
 
 昨年末、私の古い友人が会社を訪ねてくれました。高校卒業以来、実に30年ぶりの再会でした。彼は大学卒業後、転勤や転職を経て現在は関西でコンサルタントとして働いています。福知山には両親が住んでおり、定期的に実家へ帰省して様子を見ているとのこと。さらに、地元の祭りや行事にも積極的に参加し、改めて故郷の良さを実感しているそうです。将来的には両親の面倒を見ながら実家の管理を考えたいとのことで、リフォームの相談を受けました。現在の仕事はDX化が進み、自宅でも対応可能であるため、二地域居住に関心を持っているそうです。妻も福知山を気に入っており、子どもの通学の問題が解決できれば本格的に検討したいと話していました。そして何より、両親や地元の友人と顔を合わせることで日頃のストレスが和らぎ、心が落ち着くと感じているようです。
 
 一方で、地方の人口減少には歯止めがかかっていません。現在、福知山は出生率が高いものの、生まれた子供たちは都会へと出て行きます。結果として実家が空き家となり、地域の担い手が減少するという社会問題が深刻化しています。特に、私を含め「団塊ジュニア」と呼ばれるアラフィフ世代は、戦後最後の大人数世代であり、10年後には定年を迎える層です。
 
 こうした課題に対し、政府は「地方創生2.0」を掲げ、二地域居住の促進策を打ち出そうとしています。具体的には、固定資産税や住民税の軽減、住宅ローン控除のセカンドハウス要件の緩和や、実家のリフォーム・解体への助成金などの施策が期待されています。
 
 最後に、ライフスタイルというのは、経済的なこともありますが、心の問題です。何よりも大切なのは、生まれ育った故郷がこれからも豊かで住みやすい場所であり続けること。それこそが、日本全体の魅力を高め、世界に誇れる国であることの証明ではないでしょうか。

取締役社長 上田 公平