コラム

家は、文化を受け継ぐ場所

2026年10月15日

家は、文化を受け継ぐ場所
 先日、佐賀県唐津市を訪れ、「唐津くんち」の曳山を見学する機会がありました。最も印象に残ったのは、豪華な曳山ではなく、それを支える人たちの姿です。曳山を引くのは多くの若者たち。そして、その周りには浴衣姿の小さな子どもたちや、その成長を見守る家族の姿がありました。笛を吹く中学生、子どもの手を引く若いお父さん、お母さん。町全体で祭りを受け継いでいる光景でした。
 その姿を見て「このお父さんやお母さんも、きっと子どもの頃に親に連れられてこの祭りに参加していたのだろう。そして親になった今、自分の子どもを連れてきている。やがてその子どもも親となり、また次の世代へ受け継いでいく。」そんなことを思いました。
 文化は、言葉だけでは受け継がれません。子どもの頃に体験した記憶が、大人になって自然と次の世代へ受け継がれていく。その営みこそが文化なのだと、改めて感じた瞬間でした。

 私たちの暮らしの中にも、お盆やお正月、お墓参り、親戚が集まる時間、結婚式や法事など、多くの「文化を伝える機会」があります。しかし近年は少子化や生活様式の変化もあり、そのような時間が少しずつ減っているように感じます。
 だからこそ私は、家には人が集まってほしいと思います。昔、新築の家が完成すると、親族で一番年長の方に最初のお風呂へ入っていただくと、その家は幸せになるという言い伝えがありました。その真偽よりも、「新しい家をみんなで祝い、家族の幸せを願う」という心が大切だったのでしょう。

 HASI HAUSが目指す家づくりも、単に建物をつくることではありません。家族や親戚、友人、地域の人が集い、笑い、子どもたちが多くの思い出を重ねる場所をつくることです。また、家は人が住むためだけの器ではありません。文化を育み、未来へ受け継いでいく舞台です。
 唐津で見た子どもたちの笑顔は、そのことを改めて教えてくれました。そんな住まいを、これから地域の皆さまと一緒につくっていきたいと思っています。
代表取締役 上田 公平